整形外科の検診のため叔母を施設へ迎えに行った。
いつもと叔母の様子が違う。無表情で、“チーン”と静まっている。ショックだった。この一ヶ月叔母には精神安定剤が処方されていることを知った。認知症の叔母に、「黄昏症候群」の症状が出たためだ。
整形外科の医師にも意見を聞く。転倒による骨折か精神安定剤の副作用のどちらのリスクをとるかだと言われた。
診察後、叔母が言った。「私のことを一番にしないでいいのよ。あなた達のことを先に考えて」。思いがけない叔母の言葉に、思わず涙が出そうになりながらかたく叔母の手を握りしめる。叔母がニッコリ笑った。
何も出来ないと思うやるせなさを、主に委ねる。